建物や設備の劣化
変化の時、古くなる建物や設備
今回は、古くなる建物や設備についてみていきます。
最近の話題として、2021年10月3日午後、和歌山県和歌山市松島で
「水道橋」が崩落したという事件が起きました。この水道橋の名前は「六十谷(むそた)水管橋」ですが、1975年に設置、既に約46年経過しております。
既に2015年に耐震化工事を行っていたり、再来年まで耐用年数が持つと想定されていた中での今回の事件は想定外であり、
原因は、果たして老朽化なのか、それとも別の問題なのかは不明です。
今後の動向が気になるところですが、今回の和歌山県以外でも同様の出来事が考えられるのではないかとニュースでも話題になっていますね。
建物自体、建物の設備の老朽化については、「首都高速道路」も著名かと思われます。
こちらも「水道橋」同様に、開通から約50年以上経過した箇所があり、既に都の整備局は修繕作業を行っています。
「首都高」の正式名称は「首都高速道路」、昭和23年(1953年)に慢性的な交通渋滞の緩和を目指し、「首都高速道路に関する計画」から生まれた道路です。
構想当時は単に1964年の東京オリンピック開催の為だけに作られたわけではないようです。
私もコロナ以前で東京に遊びに行った際、「首都高」を使いましたが、特に首都高を支える支柱の部分や道路どうしを接続する部分を中心に修繕している現場が見えました。
周辺の再開発で増え続ける新しい高層ビルディングの中に、50年以上も立ち続けている「首都高」の雄姿は、
時代の変遷に耐えしのぐ、力強さと50年以上も耐久力があるという日本の技術力の高さとも捉えられるのではないでしょうか?
日本の建築の用語に、住宅業界の方であればご存じである、「竣工」という言葉があります。
意味としては「住宅が完成する」という意味だけと思われがちですが、「建物は住み続けることで完成に近づいていく」という考えも含まれています。
岐阜県の飛騨高山にある、重要指定文化財「吉島家住宅」の事例のように、柱や梁に塗られた滓漆(かすうるし)、当初は黄色等目立つ色調だったのが、
住む人が何代にもわたって乾拭きし続けたことで、「飴色の光沢(拭き色)」が出てくる、、、竣工とは完成ではなく、むしろ美しさの始まりという捉え方もあるようです。
上記のように、単に建物が古くなると捉えるのではなく「吉島家住宅」のように「竣工」、完成ではなくむしろ美しさの始まり、
いくつもの時代を耐え抜いてきた力強さと日本の技術力の高さの象徴というようにプラスに捉えられるのではないか、
建物や設備はそんな多面的な側面を秘めるものであるため、今後の水道橋の原因究明の動向に注目です。